バランスのとれたドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)の特徴と増悪したドーシャ、アーマの特徴
アーユルヴェーダでは、人間の体内には3つのバランスがあり、それが整うことで、より高い健康を実現できると説明しています。この3つのバランスをドーシャと呼んでいます。
このドーシャの特徴とバランスを整える方法についてご紹介しましょう。
・バランスのとれたヴァータの機能とバランスを整える方法
・バランスのとれたピッタの機能とバランスを整える方法
・バランスのとれたカパの機能とバランスを整える方法
・アーマの増えた兆候と対策
バランスのとれたヴァータの機能とバランスを整える方法
ヴァータは、動き、連絡、運搬という機能を持ち、生理においては血液の流れ、神経インパルスの伝導、ホルモン分泌、排泄、呼吸、自律神経の調節、思考、心の動きなどを正常に保つ働きをしている。
ヴァータのアンバランスを示す兆候
心理的なアンバランスの表れ
・考えがまとまらない。・いつの間にか、気持ちの落ち着きを失っている。・無駄な動きが多い
・些細なことで心配、不安になる。・休息をとることに不安を感じる。など
身体的なアンバランスの表れ
・肩や首筋が張る。・お腹が張って、ガスが溜まる。など
食事への影響
・食欲が不規則。・甘いものが美味しいと感じる。・過食、不安定な食欲。など
乱れたヴァータの鎮静法の例
・十分な休息。・夜10時までに就寝。・十分な睡眠(8時間程度)を取る。
・休日は不要不急な外出を控えてゆっくり過ごす。・規則的な生活を心掛ける。
・身体を冷やさないよう、温かく保つ。・大きな音(音楽なども)や騒音を避ける。・温かく消化の良い、適度に油分を含んだ食事を摂る。
・ヴァータを整えるグッズを活用する。
→ヴァータティー、ヴァータチュルナ、ヴァータクリア、ヴァータアロマなど。
バランスのとれたピッタの機能とバランスを整える方法
ピッタは、変換、消化、代謝という機能を持ち、生理においては、食物の消化、胃酸、肝臓における解毒作用、体温の生産、知力、空腹感、視覚、喉の渇き、肌のつやなどを正常に保つ働きをしている。
ピッタのアンバランスを示す兆候
心理的なアンバランスの表れ
・イライラする。
・細かいことがきになる。・規則、時間を守らない人がいると腹が立つ。
・時間が気になる。・口調が荒くなる。人と口論になる。
・他人や自分に対して批判的になる。・スケジュールが気になる。・自分がなんとかしなければという過度な責任感。など
身体的なアンバランスの表れ
・暑いとイライラする。・目が充血している。・喉が乾く。など
食事への影響
・空腹に耐えられない。・極端に辛いもの、刺激的なものを欲する。・つい食べ過ぎる。など
乱れたピッタの鎮静法の例
・辛味、酸味、塩味を取り過ぎない。・頑張り過ぎたり、無理をしない。(頑張らないことにも頑張らないように!)
・美しい自然に触れ、新鮮な空気を吸う。・リラックスした時間を取り、楽しく遊び、よく笑う。
・身体を厚くしないように気をつける。(熱い風呂、長時間の日光浴などは避ける)
・ピッタを整えるグッズを活用する。
→ピッタティー、ピッタチュルナ、ピッタクリア、ピッタアロマなど。
バランスのとれたカパの機能とバランスを整える方法
カパは、構造、重さ、硬さ、形という機能を持ち、生理においては、粘液、関節における潤滑油、強固な腰や胸、記憶の保持、精神の安定、持久力、精力、忍耐などを正常に保つ働きをしている。
カパのアンバランスを示す兆候
心理的なアンバランスの表れ
・気分が重い。・自分に自信がない。自分を過小評価する。・人に甘えたいと思う。
・人付き合いが苦手になる。疎外感。・進歩や向上心がなくなる。欲望が乏しくなる。
・自分の鈍さが悲しいと感じる。など
身体的なアンバランスの表れ
・体が冷えている。・身体を動かすと気持ちが良いが、基本動きたくない。・睡眠時間が長い。早く寝ても早起きできない。など
食事への影響
・お腹が空かない。消化に時間がかかる感じ。・あまり食べなくても、体重が徐々に増える。・甘いものが欲しいと感じるが、食べても美味しくない。など
乱れたカパの鎮静法の例
・毎日規則的に、軽く汗をかく程度の運動をする。(汗で身体を冷やさないように注意)・朝は早起きを心がける。
・生活に変化をつける。外出などの気分転換。部屋の模様替えなど。・油分を少し減らして、緑のは野菜を多くした軽めの食事。
・カパを整えるグッズを活用する。
→カパティー、カパチュルナ、カパクリア、カパアロマなど
アーマの増えた兆候と対策
アーマは未消化物と訳されるように不完全な消化から生じます。アーマは体の管(スロータス)を詰まらせ、ドーシャのアンバランスの主因となります。
アーマは未消化物ですので、適切な食事、消化を整えることで消化しきることができます。
アーマが生じる原因
・断食 ・過食 ・前の食事が消化される前に食べる ・不規則な食事 ・冷たい食事 ・前の食事の残り物を食べる ・立って食べる ・汚染された食事 ・早食い、逆にゆっくり過ぎる食事 ・季節や時間への適応の誤り ・衰弱 ・自然な欲求の抑圧 など
増えたアーマによって生じる状態
・精神的、肉体的疲労感・怠惰・便秘・気力、体力の減退・消化力の減退・食事に興味がなくなる・繰り返し唾を吐く・身体や気分の重さ・自己参照性の欠如 など
アーマをなくす方法の例
・消化の良い、できたての、適度に油分を含む食事。・完全に空腹になってから食べる。・朝夕は食事量を少なめにし、昼食をメインの食事にする。
・適度な速度で食べる。・食べ過ぎない。満腹時の3/4程度。・定期的に夕食はおかゆかスープのみにする。・お白湯を食事と食事の間に1日3~4杯程度するる。
・ショウガ、黒胡椒、クミン、フェンネルなどのスパイスを使う。・ぬるま湯にレモンと生はちみつを加えたものを朝の空腹時に飲む。
・アーマクリアを摂る。
文・写真:大江一郎(マハリシ・アーユルヴェーダ生理浄化法認定テクニシャン マハリシ・ヴェーダ大学・オランダ アーユルヴェーダ料理研究家)
参考文献:女性のためのマハリシ・アーユルヴェーダ(下山訓永著)
イメージ写真:PIXTA・他
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